「もっと強くクロージングしないと」「もっとセールストークを磨かないと」。売上が伸び悩むと、多くの経営者はこう考える。しかし、この発想こそが売れない原因を作っている。
ミライマーケティング理論では、この現象を「滑り台理論」で説明する。そして結論から言えば、やるべきことは「押す力を強くする」ことではなく、「滑り台の上の小石を取り除く」ことだ。
顧客は最初から「欲しい」と思っている
まず前提を整理しよう。人間には8つの根源的欲求(LF8)がある。生存と安全、帰属と愛、地位と尊敬、豊かさと成長、自己表現と意味。これらの欲求は生まれながらにして全ての人が持っている。つまり、顧客は最初から「欲しい」という重力を持っているのだ。
あなたの商品やサービスが、これらの欲求のいずれかに応えるものであれば、顧客には元々「滑り落ちる力」が備わっている。にもかかわらず滑り落ちない(購入に至らない)のは、コースの途中に小石が転がっているからだ。
顧客は元々Wants(重力)を持っている。無理に押すのではなく、コース上の小石(不安・怪しさ・面倒くさい)を除去するだけで、自然と購入へ滑り落ちる。
3つの「小石」が購入を阻む
小石1:不安
「本当に効果があるのか」「失敗したらどうしよう」「騙されていないか」。顧客の頭の中には、常にこうした不安が渦巻いている。実績の提示、お客様の声、返金保証。これらは全て「不安という小石」を取り除く施策だ。セールストークではない。
小石2:怪しさ
ホームページのデザインが古い。連絡先が書いていない。代表者の顔が見えない。こうした要素は「怪しさ」という小石になる。中身が良くても、外見で信頼を損なえば、顧客は滑り台の途中で止まってしまう。
小石3:面倒くさい
問い合わせフォームが複雑。購入までのステップが多い。説明がわかりにくい。「面倒くさい」は最も見落とされがちな小石だ。顧客は忙しい。少しでも面倒を感じたら、そこで離脱する。申し込みまでの導線をできるだけシンプルにすること。これだけで成約率は変わる。
「足し算」ではなく「引き算」で設計する
従来のマーケティングは足し算の発想だ。もっと広告を出す、もっと特典をつける、もっと強い言葉で煽る。しかし滑り台理論の発想は引き算だ。顧客が自然と滑り落ちる道筋から、障害物を一つずつ取り除く。
これはプログラミングでいえば、こういうことだ。
IF(不安 = 0)THEN(ベクトル = 外向き)。足し算ではなく、引き算で解決する。
不安がゼロになれば、顧客のエネルギーは自動的に「買いたい」という外向きのベクトルに転換される。あなたが押さなくても、重力が仕事をしてくれる。
中小企業こそ、摩擦除去が効く
大企業には広告予算がある。ブランド力がある。だから「押す力」で勝負できる。しかし中小企業や個人事業主にその余裕はない。だからこそ、摩擦除去という戦い方が合っている。
まずは自分のビジネスの導線を、顧客の目線で辿ってみてほしい。ホームページを見たとき、不安を感じないか。怪しいと思わないか。面倒くさいと感じないか。小石を一つ取り除くたびに、顧客はあなたの元へ自然と滑り落ちてくる。