「30代女性」「年収500万円以上」「都内在住」。従来のマーケティングでは、こうした属性でターゲットを定義してきた。しかし、同じ30代女性でも、安定を求める人と自由を求める人では、響く言葉がまるで違う。属性が同じでも、価値観が違えば行動は変わるのだ。
ミライマーケティング理論では、人の価値観を6つのアーキタイプに分類する。そしてこのアーキタイプこそが、マーケティングにおける最も本質的なターゲティング軸になる。
6つの価値観アーキタイプ
人間の価値観は、大きく「欠乏型」と「成長型」に分かれる。欠乏型は「足りないものを満たしたい」という欲求から動き、成長型は「もっと広がりたい」という欲求から動く。さらにそれぞれが細分化され、6つのアーキタイプを形成する。
Deficiency Type
守護型(安定)
安全と秩序を重視する。リスクを避け、確実な選択をしたい。「安心」「保証」「実績」という言葉に反応する。
Deficiency Type
共感型(保護)
人とのつながりと調和を重視する。誰かの役に立ちたい、支え合いたい。「仲間」「共感」「一緒に」という言葉に反応する。
Deficiency Type
闘争型(影響)
力と影響力を重視する。競争に勝ちたい、認められたい。「No.1」「実力」「結果」という言葉に反応する。
Deficiency Type
統合型(理解)
知識と理解を重視する。物事の構造を知りたい、本質を見たい。「論理」「構造」「なぜ」という言葉に反応する。
Growth Type
創発型(自由)
自由と創造を重視する。枠にはまりたくない、新しいものを生み出したい。「挑戦」「自由」「創造」という言葉に反応する。
Growth Type
理念型(意味)
意味と使命を重視する。社会に貢献したい、大きな目的のために動きたい。「使命」「社会貢献」「理念」という言葉に反応する。
三歳の魂、百まで
昔から「三つ子の魂百まで」と言われるが、これは価値観アーキタイプにも当てはまる。環境や経験によってペルソナ(社会的な振る舞い)は変わるが、核となるアーキタイプは幼少期からほとんど変わらない。
一人の人間は状況に応じて複数のペルソナ(変数)を使い分けるが、核となる定数(アーキタイプ)は変わらない。
つまりアーキタイプは「定数」であり、ペルソナは「変数」だ。この区別ができると、顧客理解の精度が劇的に上がる。
経営者自身のアーキタイプを知る
価値観アーキタイプの活用は、まず自分自身から始まる。あなたが守護型なら、安心と信頼を軸にしたビジネスが自然と構築できる。創発型なら、革新と自由を軸にしたサービスが合っている。
自分のアーキタイプと合わないビジネスをしていると、どこかで無理が生じる。「なぜか続かない」「やっていて楽しくない」。その違和感の正体は、自分の定数とビジネスの方向性がずれていることにある。
顧客のアーキタイプでメッセージを変える
同じ商品でも、顧客のアーキタイプによって訴求ポイントは変わる。たとえばコンサルティングサービスを売る場合。守護型の顧客には「実績に基づく確実な手法」と伝え、創発型の顧客には「あなただけのオリジナル戦略を共創」と伝える。商品は同じでも、言葉が違うだけで反応はまるで変わる。
属性でターゲットを切る時代は終わりつつある。価値観でターゲットを捉え直すこと。それが、情報過多の時代に「ちゃんと届く」マーケティングの鍵になる。